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身体言語版 農業少女

演出 菊池亮太

原作 野田秀樹

出演 川原瑞貴

    菊池亮太

    國枝由紀子

ピアノ奏者

    西野純一

演出ノート

線路、道路、空路、情報網、公共交通機関―――行動域が広がれば広がるほど、広がった便利さが自己に閉塞感をもたらす時代になったと、私は思う。

私達は『自分の部屋』に居ながら『部屋の外の物』は何でも手に入る。そこで手に入らないのものこそ『自己』に他ならない。そして自己とは常に部屋の外側と内側が『本当に出会う瞬間』のことである。

 

どれだけ携帯が薄くなろうと、どれだけ効率的に発電しようと、どれだけ映像が立体的になろうと、たとえ農業が空を飛ぼうと、永遠に出会うことはない。

いつでも時代に絡め取られ、足掻いて踠いてそして初めて自分の部屋を突き破りそこで初めて出会うもの。

その出会いの正体こそ『自己』だ。

新しい扉が開き眼の前の世界がひらける瞬間。そこにこそ本当に『自己』というものがある。

 

これは交わることのできない、部屋の『外側と内側』の物語だ。

 

今回、演技空間をあえて遮った。

『ここ』には『制限されれば制限されるほど』激しく求められるものがある。

それはまさに『自己』だと思う。

観やすい芝居ではないかもしれないが、その瞬間を垣間見ていただけたなら、出演者ならびにスタッフ一同 本望である。

 

最後にはなるが、稽古場をはじめこの空間と時間を提供していただいた解帯劇場の皆様、またこの空間と時間を共有した全ての人へ、なによりも、この舞台を共にした仲間たちへの心からの感謝を持って、本公演の挨拶とかえせていただきたい。

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