明けない夜
舞台上で二つの作品が同時に上演される異例の作品!
身体言語初期に上がった問題の構想が今、舞台化される!
祈りは届こうと
願いは叶わない
BLAC / 劇団 身体言語
第8作品
明けない夜
学生運動
2つに断たれた舞台空間で、一夜の物語が幕を開ける!
3.11
民衆の敵 東京オリンピック
安保闘争
原子力
二作品の県外公演と二作品のフェスティバル公演を経た2017年の身体言語、その活動を締めくくる本拠地大阪での話題の最新作!
同時に上演されるふたつの物語の舞台は共に
安保闘争の渦中にある当時の日本!!
......一方は、ある大学での演劇部の稽古場
来る卒業公演に向けイプセンの『民衆の敵』の物語が進む
......一方は、ある学生運動家の物語
学生やマスメディアを従えて来る国会前デモに人員を募る......!
ふたつの物語は全く予期せぬしがらみと更なる波紋を呼び
そして全くあたらしい歴史の一ページ世界を切り拓く....!!!
『明けない夜』
作/演出 菊池亮太
<CAST>
越智浩太 寺岡千尋 中島深志 荒尾成美 大橋典生 尾上笑子 菊池亮太
<日時>
2017年12月
15日(金)19:00
16日(土)14:00/18:00
17日(日)14:00
※開場は各時間30分前より
<劇場>
あべのハルカス近鉄本店ウイング館9階
SPACE9
<料金>
一般 前売2,500円/当日2,800円
学生 前売2,000円/当日2,500円
作品紹介
この作品は、2011年3月11日に起こった東日本大震災をはじめとして、それに連なる様々な作品作りのプロセスの中で突き当たった、当時の、いわゆる「強行採決」として可決になった『日米安全保障法案』と、それを見守る日本社会の動きや学生運動団体に関心を寄せ、私が2015年に書き始めた『仮面劇』である。
書いてはみたものの挑戦的な作品構成のため「上演困難」として劇団での公演はしばらく行われなかった。しかし、『平成の学生運動』として日本全国を駆け巡り活動を行っていた学生団体『SEALDs』の解散を受け、また、『平成の学生運動』の平成の方もなんだかそろそろ終わるようで、終わるようで終わらないようで。
そんなこんなで、すったもんだで日が暮れる2分の1の男と女の戯曲として、新たに校正を加え現代世に送り出す決意を固めた(高橋留美子先生 ごめんなさい)。
読み返してみたら、当時の自分は、なんというほどに日本のことも演劇のことも、むかついていたのだろうかと思いながら、原点は大事なので、この戯曲を改訂し、完成稿として書き上げた現在より2年前、作品を書くにあたってノートに最初に殴り書きした文章を、こっそりと載せておく。
私は、戯曲を書くとき、はじめに終わりを考える。そしてすべての物語は、さいごの一節、さいごの一言、その一瞬に向かって紡がれてゆく。そこへ向かって登場人物たちは切実に言葉を紡ぎ続ける。
俳優たちもまたそのモーメントに向かって。すべての物語は、終わりに向かって歩み続けている。歴史は「落し処」を求める一方に、また奇怪な表情でステップを繰り返す。
1955年12月19日原子力基本法施行
それから、4年6カ月後
1960年5月19日60年安保法案の強行採決
2011年3月11日福島第一原発事故による原子力基本法見直し
それから、4年6カ月後
2015年9月19日現代の安保法案の強行採決
この数字の配列は偶然だろうか、原子力がこの国に「何か」をした「およそ5年後」に、この国は世界に向けた(主に軍事的国際協力の)立場を見直すことにしているらしい。
我々は「原子力と安保」「4年6カ月後の19日」という点を結んで、同じところをぐるぐる回っているようだ。
終わりなく、ひたすらに繰り返す歴史の中で、誰が、何を終わらせるのか。どう終わらせるのか、その終わりは、選べるものなのか。その答えをこの60年、あるいは「戦後70年」の間、この国は問われ続けて来た。何がハッピーエンドなのか。何が幸福なのか。
終わりということを書き続けていると。『もしも、世界をつくったのが神様だとしたら、いったいどんな一行を物語の末に添えたのだろう』と、考えたりする。たまに。
最期にいったいどんな一行が待っているのだろう。果たしてラストシーンは想定されてあるのだろうか。それは私たちに選べるものなのだろうか?
もしかしたらこの現代というものは、デウス・エクス・マキナのように、あまり優れた戯曲ではないのではないか、と私は作家に問いたい。
私たちは今、なんとなく見え、なんとなく聞こえる世界とともに、一つの惑星に住み、終わりを求め永く彷徨っている。終わらないこの日々は辛くとも、ときに愛おしい。この瞬間が終わらなければいいと願いさよならしてきた日々がたくさんある。
あ、大丈夫です。今日のお芝居には、終わりがありますから。
BLAC / 劇団 身体言語 芸術監督 菊池亮太